「陰謀の日」シドニィ・シェルダン|UFOとスパイと追う者&追われる者
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「陰謀の日」のあらすじ

ニューメキシコ州ロズウェルに墜落したというUFOの話はどこまでほんとうなのか?上官に見込まれたのがアダとなってスパイ稼業に足を踏み入れてしまったベトナム戦争の英雄ロバート・ベラミー中佐。夜明け前に電話でたたき起こされ、眠気まなこで出かけてみると、そのまま大陰謀のベルトコンベアに乗せられてしまう・・・愛妻スーザンは敵なのか味方なのか?・・・早く逃げろロバート・ベラミー!

「陰謀の日」の感想

いかにもアメリカらしい作品だと思う。スパイにUFOは私の好きなネタでもある。テンポが良くて読みやすいので、あまり中だるみせず、どんどん読み進められる。

「重要機密の機材を積んだ気象観測用の気球が落下した。その現場を目撃した人物を探し出して欲しい」これがロバートに与えられた任務だった。目撃者がどこの誰なのかは一切わからない。わかっているのはただ同じバスに乗っていたことだけ。誰にも頼らず一人だけで任務をこなさなければならない。雲を掴むような話だったが、ロバートは僅かな手掛かりから目撃者たちを見つけていく。その過程で、落下したのは気球ではなくUFOだったと知るのだ。

ロバートが目撃者たちを追う前半は、謎の組織の会合なども交えつつ、ミステリアスに展開していく。疑問符を抱えながら全ての目撃者を探し出した時、追う者であったロバートは追われる側になる。まるでアメリカ映画でも見ているかのようなスリリングな展開でとても面白い。

読んでいる途中で、ふと20世紀末のことを思い出した。UFO特番が頻繁に組まれ、ミステリーサークルの取材やノストラダムスの大予言で人々は大騒ぎ。世界の滅亡だなんだと言われていた。今となっては笑い話だけど、あの時は私も本当に大丈夫だろうか?と心配になったりしたものだ。それを思えば、政府が隠そうとする気持ちもわからないではないのだが、もしも本当に世界のどこかで隠蔽工作が行われているのだとしたら恐ろしいなぁと思う。

ロバートはすれ違いで別れてしまった元妻・スーザンのことを愛し続けている。作中の至るところでスーザンへの愛が語られている。昔読んだ時は、それほど深く愛し続けるロバートの気持ちを本当のところでは理解できていなかった。それが年月を経て再読をして、距離が離れても想わずにはいられない痛みを伴う感情をより深く感じ取れるようになった。その想いが簡単に消せないことを知り、結末がわかっていても胸が苦しくなった。

なかなか読み応えのある作品なのだけど、なんとも惜しいのがラスト。上手くオチをつけられなかったのか、あっさりと終わってしまうのだ。読んだ人のほとんどが「え?それで良いの?解決なの?え?」ってなること間違いなしのあっさり感。SF作品だと仕方がない部分もあるかもしれないけど、けっこう尻すぼみな印象だったので、それが非常に残念なところ。過程は面白く読めるので好きなんだけどね。

UFOや宇宙人は存在するのか?

巻末に作者のノート=いわゆる後書きがある。小説を書くにあたってUFO関連で色々と調査をしたようで、この内容がとても興味深い。UFOの目撃談や関係者の不審死、宇宙飛行士からの手紙も載せられている。天体物理学者でNASAの科学者でもあるジル・ターターは、このような言葉を言ったそうだ。

銀河系に四千億もの星が存在する。宇宙は無限の星くずでできていると言っていい。この中で、地球だけが生命体を持つとはとても信じ難い。

これには全面同意する。私も宇宙人は存在すると思っている。例えば、地球人から見て住めない環境であっても、生命がいないとは言い切れないのではないか。酸素や水、食料がないと生きられないのは地球人の常識で、地球人にとっては過酷な環境であっても、宇宙人にとっては何でもないことなのかもしれない。食料の代わりに太陽や星々からエネルギーをもらって生きているのかもしれない。そうやって考えると、なんだかワクワクして来ない?

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