「言いたいことが言えない人」加藤諦三|恥ずかしがり屋の解説書

「言いたいことが言えない人」のあらすじ

人に近づくのが怖い。人と一緒にいると居心地が悪い。できれば人と接したくない。でも、ひとりでいることも楽しくない。だから生きるのがつらい――。

「恥ずかしがり屋」の人は、なんでもないことについても、言いたいことが言えないで生きてきた。「イヤだ」と言いたいのに言えない。「それが欲しい」と言いたいのに言えない……。
幼児期から自分を押し殺し、何かあるとひとりで自分を責めてしまう。そうして、人づきあいが苦になる――。

「恥ずかしがり屋」の人は、なぜ、人とふれあうのがつらいのか。どうして、「ほんとうの自分」をさらけ出すことができないのか。人を信じられなくなってしまったのは、なぜなのか。それらの原因を解き明かし、新しい道への一歩を説く。

「言いたいことが言えない人」を読んだ感想

今でこそ息がしやすくなってきたものの、昔の私は相当な話下手だった。臆病だった。一時期などあまりにもビクビクしてしまう自分が情けなくて、治し方の本を読み漁った。人と話すことは苦痛だった。だから「まえがき」を読み始めた途端、いきなりドキッとさせられた。

「恥ずかしがり屋」の人は、人づきあいが苦になる。日常のなんでもないことについても、言いたいことが言えない。自分の気持ちをどう言っていいかわからない。自分の心を人に伝えられない。
だから幼児期から自分を押し殺した子であった。そして親しい人がいない。親しい人とは、自分の弱点を話せる人。

そう。昔から自分の言葉を伝えることが苦手だった。顔色を伺って周りに合わせて、少しでも周りに嫌われないようにとそればかりを考えていた。選択は苦手だった。周りの選択するものに合わせるばかりだった。自分の意見など言わない方がいいのだと思っていた。聞かれると困った。優柔不断になってしまう。相手が私に求めているだろう答えを必死で考える。いっそ、私の意見など聞かずに勝手に決めて欲しかった。でも、そう思っていることを悟られたくもなかった。人の心を読める人になりたかった。

気軽に話す事が出来なかった。いつも緊張をしていた。そんな私に弱点を話せる人などいるはずもない。むしろ弱点を掴まれたら終わりだとさえ思っていたくらいだ。決して人に弱みを見せてはいけない。簡単に人を信用してはいけない。心を悟られてはいけない。人と話した後はいつも疲れてグッタリとした。

何か言おうとしたときに、その感情的記憶がよみがえり、もう怖くて言えないのである。
何か言おうとしたその瞬間、体のなかに恐怖がよみがえる。
だから自己主張も自己表現もできない。そして自分のなかに閉じこもる。

この本では主に親からの愛情について書かれているが、私の場合は友人関係の方が大きい。クラスメイトに無視されたり、友達だった人に次から次へと仲の良い友達を奪われる(引き離される)こともあった。私を嫌いな一部の人に影でコソコソ笑われることもあった。

何かを言おうとすると、その時の笑われた記憶がよみがえる。バカにされる。嫌われる。その恐怖が喉まで出かけた言葉を閉じ込める。昔の私はコンビニの買い物すらも緊張で震えるほど、恐怖に支配されていた。それを思い出した。

たとえば、自分ははじめての人に会うと赤面するのではないかと不安である。その不安の心理から赤面するにちがいないと思い込む。

私も赤面症だった。発表の場では緊張で顔が真っ赤になったり、パニックになって通常通りの行動が取れなかったり、よく失敗をした。顔が赤くなるのはからかわれた。それは私の中でトラウマとなり、意識して余計に上がってしまい、人の視線が集まるような機会が嫌いになった。

ちょっとした事で表彰された時も、嬉しさよりも何か失敗しないだろうかという不安でいっぱいになり、わざわざステージに上がらなくても後で表彰状だけくれればいいのに・・・などと思うほどだった。知らない場所へ行ったり、知らない事をするのは不安だった。何事もなく終わると心の底からホッとした。

本の中でも触れられているが、そこで私が取った手段は「あらかじめ予防線を張ること」だった。きっと失敗するだろうと思っているから、最初に「あがり症で」と伝えておく。なるべく人前に出るような機会を避ける。人と深く接しない。相手が私の何かを否定しても傷つかないように仮面をつけた。たとえ否定されたとしてもそれは仮面の私。私自身は傷つかないわ。

拒否されることを恐れて仮面をつけている者は、当然、他人と一緒にいても居心地が悪い。いつ仮面が剥がされるかわからないからである。

結局のところ、仮面をつけることで「この人が見ているのは偽りの自分なのだ。本当の自分を知ったら嫌いになるだろう」という新たな不安が生まれる。褒められても「それは表向きの私だもの」と思う。次第に自分自身の気持ちもわからなくなり、虚しさだけが残ってしまう。それは不毛な努力だ。

この本では、恥ずかしがりな人が「どうして何も言えなくなってしまうのか」原因と心理状態について書かれている。自己分析・他者分析の手助けにはなるが、知るための本といった感じで解決策までは書かれていない。また、後半が「親からの愛情不足」に特化しているのと比喩がわかりにくい事、何度も同じような文章が繰り返されるのはやや気になった。参考程度に読むくらいがちょうど良いかもしれない。