西田俊也「love history」 ※ネタバレあり
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本カテゴリーを作ったので、最近読み返した小説についての感想を書いてみる。

「love history」のあらすじ

結婚式の前日、由希子は昔の恋の思い出の品を捨てに出かけ、事故に遭う。気がついたとき、彼女は19歳の恋にタイムスリップしていた。さらに思い出の曲たちに導かれて、経験したすべての「恋」をたどるうち、高校時代の恋の思い出に立ち止まる……。一方現実の時間では、結婚を約束した恋人が、行方不明になった彼女を懸命に探していた。忘れられない過去の恋と大切な今の恋。彼女が選ぶのは?思い出とともに愛を巡る恋愛小説。

「love history」の感想

私の恋愛・・・過去の恋の思い出・・・あったかな?と思うほど恋愛経験が無いに等しい私にとって、過去の恋を想うことについては何も言えないが、人生においてもしも過去に戻れたら、と考えることはある。

タイムスリップした由希子は、1度目には気が付かなかった新しい視点で過去の恋愛と向き合う。この先どうなるかはわかっている。背伸びをしていたあの頃と違って大人になった今の自分なら、後悔している出来事をやり直すことも出来るはずだ。それなのに、悩みながらも結局は前と同じ道を辿ってしまう。

もしも私が過去に戻れたとしたら・・・やっぱり同じ道を辿ってしまうのかもしれないと思った。やり直したいことはたくさんある。戻りたいと願う時はたくさんある。それでも、いざ過去に戻ったなら、それ以降の経験全てを手放してでもやり直すのかと考えると悩んでしまうだろう。

作中にもあるが、選ばざるを得なかったように思える選択でも、それを選んだのは自分なのだ。やらなかった、行かなかった、行動しなかったことすらも選択の一つであり、その選択を重ねた上に今の自分があるのだということ。過去を否定することは、今の自分の存在すべてを否定することでもある。過去そのものを変えることよりも、その過程を丸ごと愛することが出来たなら、痛みや悲しみと共に生き抜いてきた自分自身をも愛することが出来るのかもしれない。そう思った。

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